社会福祉法人上伊那福祉協会

中央アルプスと南アルプスの麓である長野県上伊那地域を拠点に、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、障害者支援施設の運営の事業を行っている社会福祉法人です。

電話番号/FAX:0265-77-0350/0265-74-7544

設立年月日:昭和34年1月13日

上伊那福祉協会 公式サイト

はたらくことの座談会

介護の仕事を考えることは、人間を考えること......!?
カミフクの職員たちが、仕事に向き合う姿勢、考えをおしゃべり。
とっておきの座談会、開幕です!

困ったことがあったら、
私たちがいるで!

仕事をするうえで、大事にしていることを教えてください。

松澤利用者さんに寄りそうこと、に尽きますね。

平垣内自分も寄りそいたいと、一生懸命その方の気持ちになって考えるのですが、認知症になったこともないし、体が不自由になったこともない。いつも「本当にこれでいいのかな?」と、日々葛藤している部分はあります。

寄りそうっていうのは、具体的にどういうことでしょう?

松澤以前、ショートステイを担当していたときに、夜中に緊急入所で女性のKさんがいらしたんです。

それまでお家でKさんの介護をしていた旦那さんが急に亡くなられたとのことで。

Kさんは認知症だったので、旦那さんのお葬式の日も施設で過ごしていたんですが、旦那さんが亡くなったのは認識していて「何で私はお葬式に行けないの?」と言っておられて。

私たちもなんて声をかけていいか、わからなかった。それでも、ともかく隣にいるようにしたんです。隣にも寄りそうけど、気持ちも寄りそう。「悲しいですね」という共感の気持ちを伝えたかったというか。

平垣内たしかにそうですよね。ご家族の事情やご本人の認知症、病気などの理由で施設に来られて、必ずしも納得していないという方もおられる。そのなかで、できるだけお家の環境やご家族の代わりに近づこうとする、というのが介護の仕事なのかな。

お家に帰りたいと言う方に、落ち着いて、安心して過ごしていただけるように、「お家の方も畑なんかが落ち着いた後にまた来てくれるから。それまで何か困ったことがあったら私たちがいるで」と、お話をしますね。

吉田人数の多い施設にいると、利用者さんの話を聞く時間がなかなか取れないこともあるんです。でも「しかたない」って諦めてしまうと利用者さんの不安な気持ちがおきざりになってしまうかもしれない。だから一日10分でも20分でも、少し時間をとって話す環境を作るのは大事だと思っています。

コミュニケーションは、
言葉だけじゃない

松澤私のいるところは認知症の施設で、中には寝たきりの方もいらっしゃる。その方は喋れないし、体も硬くなってなかなか思うように動けない。そんな状態に慣れて日々の仕事に追われていると、熱もないし体調悪くないから大丈夫だよねという感じで流れていってしまう。

なんて言えばいいんだろう……人として接することを大事にしたいです。非言語コミュニケーション、表情や肌のツヤ、顔色を見て利用者さんの調子を見る。そうすると、調子がいいときは頬が和らいでいるような、筋肉が緩くなっているんです。

だから、「あの方今日笑ったんだよ!」とか「今日ちょっと声が出たんだよ!」と部署内で共有して喜んでいます。

平垣内自分はどっちかというと些細な変化に気づけない。女性はよく気づきますよね。こういうケースはすごく勉強になります。もっと自分もよく見なきゃなと毎回思うんですが、なかなか難しくて……。気づきは、自分の不得意な分野ではあるけれど、得意なところで関わっていけばいいんじゃないかなって思うようになりました。

平垣内さんの得意分野は?

平垣内行動に移すときは、素早くタイムリーにやりたいなと。たとえば、出かけて化粧品を買いに行きたいとか、外食しに出かけたいという利用者さんの要望があれば、他部署と連携して外出できる体調かを確認したり、車の手配やお店の予約をするというのは得意ですね。できるところだけですけど。

吉田私の施設には、喋れない方がいるんですよ。声も出なくて文字も書けないので、話すときもジェスチャーでしかわからない。私は、そのジェスチャーを読み取るのが好きです!それで、その方の言うことは私、だいたいわかるんです。

平垣内うちにもいますね、そういう人が。

看取りについて

たとえば、看取りを初めて迎えた後輩に、なんて声をかけますか?

吉田私も初めてのときは衝撃で大号泣してました。あのときのことを思い出すと、とてもほうっておくことはできない。話を聞くと思います。今後、看取りのときにできることって、自分で考えればわかると思うんですよね。できるだけ一緒にいることが大事だと私は思っています。

平垣内ご本人はすごく不安だと思うんですよね。その方に対してできることは「周りにみんながいるよ。一人じゃないよ」って伝えることぐらいなのかもしれない。でもそこが一番安心して最期まで過ごせるんじゃないかな。

あと大事なのは、勉強。看取りにしても、考え方や知識がないときってどうしていいかわからなかった。最近はそういう勉強をさせてもらって、たとえば聴覚は最後まで聞こえるから声かけが本人に届くということがわかりました。安心してもらえるように声かけるようにしています。

利用者さんのためにも、自分の冷静な判断や気持ちの整理のためにも勉強していかなきゃいけないなって。

松澤私は先輩から「亡くなる日を利用者さんは選ぶ」と声をかけてもらいました。「温かく最期を見送ってもらうのに、安心できる職員さんだから、今日を選んだんだよ」と言われたときは、「こちらこそ、今日を選んでくれてありがとうございました」という気持ちで後悔しないようにやってきました。

私たちの仕事は、見送った後、悲しいけど他の仕事もしなきゃいけないじゃないですか。吹っ切れるじゃないですけど、ちょっと置いておく。それで仕事が終わった帰りの車の中で、その利用者さん1人に想いを馳せる。ときには泣きながら帰ることもあります。

最後にメッセージをお願いします

吉田みんな仲がいいっていうのが一番いいところ。人間関係って働くうえで一番大事じゃないですか。私は人見知りだけど、声をかけてもらって今があります。

平垣内カミフクには、魅力のある人たちが大勢いて、みんな知ってもらいたい。本当に素晴らしいスーパーマンぞろいです。

松澤困っていたら声をかけてくれたり、ほうっておかない人たちが多いです。大げさに言ったら、利用者さんも含めて、第2の家族みたいな感じです。

ありがとうございました!

座談会メンバーの
プロフィールのご紹介

平垣内 宣博

平垣内 宣博(ひらかきうち よしひろ)

特別養護老人ホーム「みのわ園」の生活相談員。
製造メーカーの仕事から転職して、5年となる。

松澤 綾美

松澤 綾美(まつざわ あやみ)

特別養護老人ホーム「コンソール大芝」の介護リーダー。
短大で介護の勉強をしたのち、カミフクへ。勤続9年となる。

吉田 千鶴

吉田 千鶴(よしだ ちづる)

特別養護老人ホーム「かたくりの里」の介護員。
保育園のときにかたくりの里に遊びに来たことのある生粋の上伊那っ子。勤続4年。